rain

 今日は珍しく長雨だと、朝のテレビで女性のキャスターが言って居た。予報通りに今、私の見て居るベランダの先でも雨が降って居る。

 煙る風景に、雨の音。時折音を遮って大きな車が通り過ぎる音がしたが、私の視界には入っては来無かった。

 開けたベランダの窓からは、不法にも雨の臭いが忍び込んで来る。網戸を閉めて居ても、雨の臭いは入って来た。

 まるで、窓を開けて居る事が悪であると言うかのようで、不愉快になる。今日が雨であろうが無かろうが、独りで居る事が変わら無いのも不愉快の一つでもある。

「雨が降れば、紫陽花の時期か……。季節が過ぎるのは早いなぁ」

 暫し前に祖母の言って居た言葉が私の口をついて出るのもまた、成長と言えるのかもと独りで笑う。買い物に出掛けた母も、休日にも会社に出勤する必要のある父も。強雨の日にまで彼女とのデートを決行しようと出掛けて行った兄にも、頭が下がる思いだ。私はと言えば、雨だろうと晴れだろうと、現実から逃げてばかり居る。

 私が思うに世の中は不自然だ。雨に濡れれば風邪を曳くと私を止めた母は、特売だからと買い物に出掛けた。休む事も大事だと私に教えた父は、休日だからと会社を休む事をし無い。感情的になるなと私に怒鳴った兄は、彼女との愛だの恋だのに生活の中心を奪わせて居る。

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