「出会った場所は 触れられない場所で」



触れたものは 手のひらから
指先を滑って 落ちていく

本当は胸の奥に触れたいのに
届かない

あるのに ないから
揺れて 迷って 壊れそうになって

確かめようがないから 信じられなくなる

本当は信じたい
どこまでなぞったら辿り着くの
歩いたら信じられるの

顔を背けて 目を瞑って
耳を塞いで 体を丸めて眠って

手を伸べたものには 触れている
握り返しただけで 本当に届けたい場所に届く

信じたから 応えたのではなくて
ここにいるだけで もう答えになっている

立ち上がっても両手からは止めどなく溢れていく
聞こえたものは触れられない場所で 触れて
その目に映った風景はどこかに重なる
目指した場所できっと――巡り会う



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