『神戸スケッチ』連載2・メリケンパーク(1)


メリケン波止場の灯がみえる♪

今は、霧にむせぶメリケン波止場はない。家族連れで楽しめるパークになってしまった。あの震災で壊れてしまったのだ。その壊れた波止場の断片が記念として一角に残されている。そのパークにスケッチに出かけた。

親子の像はブラジル移民を記念した像である。表側には『希望の船出』と刻まれている。絵の先生が像は前から描くものだと言った。「放っておいて下さい」とは云わなかったが、ここからなら、ルミナス(クルーズ船・港内~明石海峡大橋まで行く)もオリエンタルホテルも描けるのです。まして石川達三の『蒼茫』を読んだものには、とっても『希望の船出』の表側は描けないのです。

一緒にスケッチしていたSさん(女性、スケッチのときは何故か一緒)、途中でルミナスが出て行ってしまったのだ。

「ああ~、色まだ塗ってないのに」と悲鳴。「白やから別にええのん違うの」と言った。彼女は線で描いていない。白でも陰影があり、窓には光の反射もある。白い船に、白いホテル。僕はペンで線描きした省エネ絵だったのでさっさと仕上がっていた。この絵は壁紙に使っている。PCを開く度にSさんを思い出している。

*下の写真は震災のメモリアル。

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