黒の章~始まりの色~

     「空の色」



深いのは 果てしなく 湛えられているから
暗いのは 光の届かない 淵だから


光の終わった夜は だから海に似ている
宇宙という絵画は 深海という神秘に似ている
その眠りのような混沌は ゆえに夢に似ている


知られざる洞窟 未開の言葉 その閉ざされたような扉の向こうに


何が 眠っているのだろう



     「影の色」



その黒は 影
蠢く 影
その過去を 誰かは闇と言った
その悲しみを 誰かは 暗い影と 言った



     「明日の色」



それは始まりの色
全てを飲み込んだような 空の彼方のような 色


何もない色ではなく すべてを(はら)んだ (そら)の色



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