享(う)ける

いつだったかテレビで見て考えたことがある。
毎年やってきては傷を残していく台風。
台風なんてない方がいいと思っていたが、実は海水をかき回す役目があるとのことだった。
海水が混ざることで水温が下がるらしい。
水温が上がることで生きられない海の生物がいる。そんな生物にとっては台風はなくてはならない。
私も台風みたいに何かを誰かをかき回しているかもしれないなと思った。
私の決意で物事が動いてしまうことがある。
喜ぶ人もいれば、面倒をかけてしまう人もいるとすでに想像できる。
喜ぶ人が自分にとって嫌いな人で、面倒をかける人がお世話になった人だから迷いそうになる。
酒に手を伸ばした。
缶のチューハイは物足りない。

今日は「享ける」という漢字について書こう。
この漢字は造形文字らしい。台の上に先祖を祭っている建物がある形が元とか。
意味は「受ける」「祭る」「通る」など。
神から授かったものという意味合いがある。
生まれたときからすでに持っているもの。
目、鼻、口、手、足、心臓、脳…。家族もそうか。
持ってはいるけれど、劣っていることもある。
これらは当たり前かもしれない。
でも、持っていることは初まりでしかない。
生きることで何かを身に付ける。何者かになろうとする。
何者かになることができればその名を守る。

与えられたものはきっかけだけ。
だから持っているものを過信してもいけない。
あるのはこの世界で生まれ、生きる上で見たものを証明するためのきっかけだけ。

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