「影と飢え」

胸の中の影は

いつの間にか浮かぶ
月のようで

ぽつんとあるのに
眩しすぎて 消えてくれない

寒さの中で 凍えるように
痛みの中で 喘ぐように

もしも紐を解くように 放したら

誰かの影に 溶け込んで
暗い影を 落とすのだろうか

血の 染みになるようで

時が進めば 夜のように 広がりそうで

傷つけることに 傷つくことに
話すことに 人と関わることに――臆病になる

どれだけ話せたとしても
それは――満たされることがないままで

©Daichi Ishii Office, LLC.