「透明人間」



生きているだけで 何も言えないままだから
世界のどこにも存在していないのと同じだった

触れても伝わらない 言われても届かない
そんな場所で 一人だった

受け取る人が いてくれたから

心の内側を手のひらに乗せて 差し出して
受け取ったその手が 温めてくれた

言えないままで 自分が分からなくても
すれ違うとしても 言えた場所で

触れた輪郭を 確かめるように


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