街の一コマ。


まだ七月頭の梅雨がぬけきってない頃。


洗濯機の排水ホースをぐるぐると顔に巻き付けた奴が通りを歩いていた。俺はビルの外階段で缶コーラを飲んでいた。
なかなか減らなくてずっと飲んでいる。


薄いピンクのTシャツの女がアクリル絵の具の白を肌にすり込んでいるのも見える。


道にずっとシールを貼っている男がいた。ガリガリに痩せた体にナイロンパーカーを羽織っている。髭がブドウのフサのように伸びていて格好良かった。

家具屋から牛柄のイスを持った若い男女が出てきた。
俺のコーラはまだ減らない。

小さい街に雨が降ってバスが混みだした。

「ホットドックが焼ける」と誰か言ったような気がした。そんな匂いもしたような気がするけど、きっと気のせいだ。

なんにも考えていなさそうな奴が信号待ちしている。よく見たら知ってる奴だ。あたらしいスニーカーを履いていた。「いいな・・」

おわり



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