1+1=(1+1)

風が吹いていた。
俺は独りで歩道を歩いていたが、見渡せば、町中皆独りだった。
太陽が消えうせた後はこの世界の理がビルの窓の明かりのように、
ハッキリと浮かび上がる。
俺はその孤立した光を集めてデジカメのシャッターボタンを押した。
地球が今日も回転した証。真理は逃げずに路上にへばりついている。
俺が逃げたところで、靴の裏にはベッタリと、垂れたての糞がくっついてくる。

ところで俺は、台所を掃除できずにいる。
つぶれた空き缶の中には灰がたまっていく。

俺たちが交わることはない。並んで歩いていくだけ。
それぞれの安らぎ場所の中に、それぞれの安らぎ場所を持ち込んで。
お前は俺の写真を撮り、俺はお前の写真を撮る。
部屋の中にいても、俺たちはベランダ越しに会話する。
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