エンディング

これで100メモだ。
100メモを目標にこうして書き続けてきた。
とりあえず、これで一区切りとしようと思う。
最後に何を書こうと考えていた。
エンディングにふさわしいか分からないが、書きたいことを書く。

二年前に会社の課長が自殺をした。
直属の上司ではなかったが、私を貫いた出来事だった。
呆気にとられて、私は仕事について考えた。会社について考えた。
全国ニュースになった電通の新入社員だった女性の自殺もまた考えるきっかけになった。

課長が自殺した事実を聞かされたのは、自殺した翌日の朝だった。
予定されていなかった全社朝礼。
社長が経緯を先に話し始めた。
会社の営業車が川の近くに止まっているのを近くの住民が警察に通報し、
数時間後に川で遺体が見つかったこと。
課長は大手取引先とのやり取りで疲労していたのではないかということ。
奥さんはその様子に気づいていたこと。
私は話を聞いているときは何も受け止められなかった。
でも「会社として課長の死をどう扱うか」という話のとき、私は会社に怒りを覚えた。
会社は「課長の死は突発的な事故」とする。お客様にはそう説明するように。と指示した。お客様に説明する分は百歩譲ってわかる。
だが会社として自殺を事故にする?なぜ?ずっと会社の為に働いて、
追い詰められて、自ら死んでしまった人を突発的な事故?
課長の死は地元のニュースにもならなかった。
翌日の新聞のお悔やみの欄に載った名前。まだ40歳。

突発的に死にたいと思って死ぬ人なんていない。
ずっと、ずっと前からその思いはあったんだ。
誰もその思いを救えなかったんだ。私もまた救えなかったんだ。
すれ違うときに「お疲れさま」と返してくれる課長の声、姿、覚えている。

会社は特に社員に対してケアも何もしなかった。
みんな、何でもない顔をして仕事をした。
これが、地方の中小企業だ。
自殺なんて会社にとってダメージにもならない。
だから、自殺は絶対にしないと私は学んだ。自殺しても変えられない。

電通の女性社員の自殺は、大手企業だったことで大きなニュースになった。
彼女は社会に影響を与えることができた。
でも、彼女自身は何も得られていない。

彼、彼女は最後、安らかだったのだろうか。
これでよかったと思って死んでいったのだろうか。
悔しかったのではないのだろうか。

私は、最後に、誰かに「ありがとう」と言って死にたい。
だから、このメモの最後に残させてほしい。
いつ死ぬか分からないからね。自殺でなくとも。
私が死んだら、このメモはいつまで残るだろうか。
まあ、いい。このメモは多分、私以外にはほとんど何の意味もないだろうし。

だから、何の意味もないメモを読んでくれて「ありがとう」ございます。

©Daichi Ishii Office, LLC.