懐中小話052「歯車」

シサクは生涯を歯車作りに捧げた名工である。いつの頃からか、歯車は全て王宮に収められることとなった。そこで何かに組み込まれるのだが、目的は分からない。王宮から漏れ出す不穏な軋み音が、日増しに高まっていく。シサクはその音を聞きながら、次に作るべき歯車を理解し、正確に仕上げるのである。


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