「出逢いと別れへの祈り」


風が吹いて 雨が降って 光が注いで
葉が散って 雪が舞い

伸べた手に痛みと温もりを残して
―消えていく

朝陽が閃いて 闇夜が広がり
一日は何があっても
何もなかったかのように―通り過ぎていく

まるでこの心を置き去りにするように 時は巡り
それでも一緒に歩んでいくしかないから
零したものに気づかないこともある

喜びは魔法みたいに一瞬で消えることがあり
悪夢みたいに痛みだけが残り続けることもある

触れたのは
いつか別れるその日までのささやかな一時でしかない

指先から離れて 空っぽの手に残るのは 心の中にしかしまえない

だからその時のために―別れという時が訪れ
いつ訪れるのかも分からない―その時のために
こうして―両腕に抱いて―温めている

彼方の星には届かなくても
流れ星が零した涙には触れられるから

願ったことが叶わなくても
歩んだ足跡だけは残り続けるから

自分ではどうにかなること
どうにもならないことが海の波のように揺らぐこの世界で

言葉だけで知っているもの
知っているつもりなだけで 本当は分からないもの
分からないのに どうしようもなく触れてしまうもの

それらの彩りが移ろい 光は瞬いて
花のように舞い
次々と散る―そんな世界でこの手に残るものは何だろう…

伝えたかったこと
伝えられなかったけど この手に託したもの
もう言葉にする必要がないくらい 伝えてきたこと

離れてしまえば 今日という日に この手はもうないのかもしれない

だから――それは奇跡なんだと思う
その時が来れば もうどんなに逢いたいと願っても
もうここにはいないから

残された手が その足が 歩む その続きは
きっと――夢なんだと思う

伝えられなかったこと 届かなかったもの 零してしまったもの
きっと…もう一度出会える

その鼓動が生きる 明日という―夢の続きに
あなたの見た夢が―降り注ぐように

今日目にした星は 光は きっと誰かの夢
この手に触れられる温もり そして零した涙は きっと誰かが明日へ託した願い

守りたいと願った その祈りは
遠い未来で 大切な人を守るから

出逢った喜びは いつかきっと 彼方の場所で 愛しい人を救うから

別れた涙は 傷口に触れて
ずっと――傍に寄り添うから

それは歌なんだと思う 今日を生きた 今という夢に
心臓が奏でた―祈りの唄
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