「世界を初めて見た時」


初めてこの世界を見た時
その眼には何が映ったのだろう

世界は輝いて見えただろうか
それとも眩しくて見えなかっただろうか

きっと 世界は眩くて
手を伸ばしても 届かなくて

目を細めて 泣いて 笑って
こんな世界にも奇跡みたいな美しさが―あるみたいに……

時を重ねれば 眩い光にも 見慣れていく
時が過ぎれば その輝きさえも 色褪せていく

日々の煌めきは平凡な光でしかなくなり
それはつまらなくて―虚しいだけの毎日となっていく

日常を生きるだけで息苦しくなっていく
その重みに押し潰されそうになる

どうしようもないくらい 生きることの全てはこの背中に託されているから
言い訳なんてしても 残酷なまでに現実を突きつけられるから

後悔して 泣いて―それでも生きて
笑って 眠って―もう祈ることくらいしかできなくて…

手に入らないなら それでいい
無くさないでいられるから

ずっと―彼方に輝いて…

触れられなくとも―愛することができるように

思い出せるだろうか
――あの時確かに垣間見た
――彼方の奇跡を

その祈りがもしも届くなら
この光の先の彼方に奇跡というものがあるなら

その奇跡が降り注いだ時
もう一度 あの時の世界を 見ることはできるだろうか
©Daichi Ishii Office, LLC.