21 纏めにならない纏め(2)  

写真は地中海を渡るシリア難民

【宗教について】私の考え
 宗教は麻薬であると言ったのはマルクスであります。当時のドイツではアヘンは痛み止めの薬として使われており、マルクス自身も痛み止めであると説明しています。よって、「宗教はその場しのぎの解決策に過ぎない」、「宗教に頼っても本質的な解決にはならない」という意味で使っています。禁止せよとは言っていません。
 ソ連や社会主義政権ではこれを禁止しました。結果は良くなかったのは明白です。

 自然への畏敬の念、「諸行無常」の世の中、魂の救済、安寧への願い、いろんな要素で宗教は生まれたと思うのです。一言で言えば「祈り」、それを人間は欲しているということでしょう。
 聖徳太子は仏教で国を治めようとしたと習いました。為政者からすれば、人心を治め、まとめる役割があると考えたのでしょう。私は芥川龍之介の『羅生門』を思い浮かべるのです。
 
 ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀(きりぎりす)が一匹とまっている・・あの名文で始まります。男は羅生門の楼の上へ出ます。楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸が、無造作に棄ててあるのを目にします。そして死人の髪の毛を抜く老婆を目にし、激しい憎悪を感じ、老婆を殺すという話でした。

 法が整備され国が治まって行くのはもっと後のことです。法がいくら整備されたと言っても、それで済むというものでもないでしょう。無宗教といっても慣習化された中で育てば、自から身に入っているものです。それを道徳と言ってもいいでしょう。私は無信心ですが、宗教は必要だと思っています。良薬になるか麻薬になるかは別にして・・。無信心も良くないが、狂信も良くないと思っています。

【貧困について】
 あるイラク兵士の話に関連するのですが、今までに触れませんでしたが、テロの温床になっているものに貧困があります。今内戦になっているところは民兵組織です。抵抗組織でもありますし、テロ組織でもあります。その一線は難しいです。言われているようにイスラームへの使命感だけではないと思うのです。
 戦争、内戦で荒れ果てた国土で男たちは仕事として兵士になるのです。ナチスが急速に力をつけた一つに、あの不景気の中で失業を失くしたという話があります。軍隊で吸収したのです。国力以上に膨張した軍備は戦争に向かうしかありません。あのフセインにもその節が見られます。それを助けたのがアメリカだと言ったら言い過ぎでしょうか?

 貧困が戦争やテロを産み、戦争やテロが貧困を産む。負の連鎖です。西側の援助はこの負に援助を与えている結果になっています。貧困を解決し、その国が豊かになることは他国にとってもいい結果になることは経済の理の当然です。一つ、回転を逆に出来ればと考えてしまうのです。
それと、貧困イコール戦争やテロと、全てするのも間違いでしょう。貧困であっても平和である方法は存在するのです。

【長期独裁政権】
 アメリカばかりが問題ではありません。その国にも問題があるのです。『アラブの春』の風が吹き荒れました。この長期独裁政権の打倒に民衆が起ち上がったのです。チュニジアでのジャスミン革命から、アラブ世界に波及しました。
チュニジア23年、エジプトのムラバク政権30年、リビアのカザフィ政権実に42年、シリアのアサド政権は親子2代に渡り44年、現在内戦下にあり、例のイスラーム国を産んでいる。イエメンのサーレハ政権33年、長期政権は必ず腐敗を産み、強権によって維持されます。どうしてこういう構造になっているのかは、今の私には分かりませんが、ここに名前が出た人物は全て軍出身者です。
 
ただ、正常な民主主義が機能する必要がイスラームの世界にも必要であり、民衆はこれを求めて起ち上がったのです。一歩進んだ国、中途半端に終わった国、内戦になってしまった国が『アラブの春』の現状であります。軍が出ることによって収拾が図られても、革命は中途半端になります。抵抗組織に過激派民兵組織が噛めば内戦になります。難しいものです。

【違いがあるから面白い】
 どこに行っても日本なら外国旅行なんかしませんね。誰もが自分のような顔を持ち、同じような考えを持つなら、私は自殺をする(笑い)。でしょう?
 イスラームは長い歴史の中で生まれ、培われ、民衆の中に根を下ろして来たものです。西側の価値観を一方的に押し付けてはいないでしょうか?例えそれが価値あるものであってもです。いいものなら、やがては定着します。たかだか100年に満たない中で近代化を取り入れ出したのです。急いではいけません。ましてや、尊敬されない振る舞いの下では、過激に反対方向に向かう(原理主義)のは致し方のないことです。
 イランを承認し、経済制裁を解くべきです。国となっているかどうかはそこの国民が決めることで、アメリカが決めることではないのです。どうも、アメリカは自国に都合がいいかどうかだけで判断しているようです。

 どうも、アメリカの悪口ばかりになりました。まー、アメリカが「悪かった」と言うはずもありませんし、仮に反省したとしても全てが解決するわけでもありません。ただ、もう少し冷静に理解を深めればかなり事態は改善されるし、アメリカの存在価値も増すと思うのです。大国としての役割は大きいのです。

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