20 纏めにならない纏め(1)   

写真はイラク駐留兵士

【テロの系譜】

 テロは存在して来ました。しかし9・11以降とその前では質と数、規模そして数が大きく違っていると思うのです。

 自爆戦術を用いる攻撃の数は、1980年代には年間平均5件以下だったのが2000年から2005年の間には年間平均180件にまで増加しており、2001年は81件だったのが、2005年は460件となっています。2001年9月11日からの10年間で、アフガニスタンでは736件、パキスタンでは303件の自爆テロが発生しており、2003年3月20日から2010年12月31日までにイラクでは記録されているだけで1,003件の自爆テロが発生しています。

9・11以降、中東での紛争地を除けて大きなものを上げれば、
2002年10月、インドネシア・バリ島爆破事件、外国人観光客を含む202名が死亡。
2003年7月5日 - モスクワ郊外のロックコンサート会場で自爆テロ。観衆20人以上が死亡。
2003年11月15日 - イスタンプールの2つのシナゴーグに自爆テロ。25人以上が死亡。
2003年11月20日 - イスタンプールのイギリス総領事館及び香港上海銀行本部に自爆テロ。総領事を含む27人以上が死亡。450人以上が負傷。
2004年2月6日 - モスクワの地下鉄で自爆テロ。39人が死亡。
2004年スペイン列車爆破事件(191人が死亡、2000人以上が負傷)
2004年チェチェン共和国独立派によってベスラン学校占拠事件(ソ連、386人以上が死亡、うち186人が子供、負傷者700人以上)
2005年ロンドン同時爆破事件(56人が死亡)
2010年モスクワの地下鉄で自爆テロ。38人が死亡。
 小さなものを上げれば枚挙に暇がありません。他、中国でもウイグル自治区で多発、最近ではオーストラリア、カナダ、ベルギーでも・・そして今回のフランスと広がっています。中東の紛争地では日常化してしまっています。

【9・11以降のアメリカの対応について】
 その「テロの本質を知りたい」がこの文を書いたテーマでした。ブッシュ大統領がいみじくも言った「これは戦争だ」が当たっていると思うのです。対アメリカへの戦争です。ISが登場してからは西側諸国にまで拡大しています。敵が今までの国家という概念と違っているということです。
 本土攻撃を一度も受けたことのないアメリカのショックは相当なものだったと思います。私があのテロで家族、友人を失った側なら、犯行組織の首謀者の引渡し、応じなければ戦争もやむなしになるでしょう。しかし、アメリカの大統領の選択が家族次元と同じでいいとは思いません。国民の心情を考えれば・・それでも間違っていると思うのです。一応、世界に責任を持つとしている帝国の大統領です。もって起きる事態も想定する責任があるのです。
 国民が熱くなっているのなら「冷静に、しばし待て」ぐらいの、知恵はいると思うのです。大統領が熱くなっているのなら、国民がそれを言わねばなりません。

 飛行機を武器に使って何千という人命を奪ったと言うのなら、それはアメリカが常にやって来たことと反論できるでしょう。第二次大戦ではアメリカは解放軍でしたが、それ以降の戦争、戦闘はそれが当てはまらない、むしろ尊敬の念を失墜していると思うのです。アメリカはあのベトナム戦争で何を学んだのでしょう。今、ベトナムは自立してあり、アメリカとは友好の関係にあります。

 第一次大戦の戦後処理は、ヨーロッパに於いても、中東に於いても、イギリス、フランスは間違ったと思います。第二次大戦後、代わって西側の盟主になったアメリカも、中東に於いては同じような間違いを犯しているのではないでしょうか。はっきりと言って、イギリス、フランスはテロの畑を作り、アメリカ(ブッシュ)はそれをバラ撒いたと言わねばなりません。
 何よりの証拠が、イスラーム民衆レベルの反米感情であります。全てとは言いませんが、それが、テロの温床になっている要素は大きいと思うのです。

 テロ組織と言っても、積極的、消極的であっても、一定の民衆の支持を得ている限り、殲滅など出来ません。過激派も余りにも狂信的なテロ行為を続けて行けばいつかは、民心は離れるでしょう。双方ともにどうすればその国で民衆が安寧に暮らせるにかを考えるべきです。それをより、真剣にした方がこの戦争の勝者になれるのではないでしょうか!

【あるイラク兵士の話】
 ドキュメンタリー番組で湾岸戦争に従軍した一人のイラク兵を取り上げていました。自軍の士気の低下、戦争への疑問、そんな時にアメリカの撒いた「武器を捨てて家族の元に帰りなさい」を見て、彼はその通りにしたのです。
 次の対イラク戦争ではアメリカの爆撃で幼い娘の命二つが奪われます。一人残った娘の成長を楽しみに、彼はアメリカをなじりはしましたが、テロ側に行くこともなく、弟と露天の八百屋を営み、残った家族を支えるのです。混乱した治安のもと(宗派対立)で頼りにしていた弟が殺されます。そして最後には彼も弟と同じ運命をたどるのです。なんという悲しいはなしでしょう。

反米感情は抱いても、健気に生活を営んでいる人の方が絶対多数なのです。宗派対立ばかりが強調されますが、混乱の産物でしかないように私には思えるのです。

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