18 トルコ・サウジアラビア 親米・西側の一員とみられる国

写真はイスタンブール・ヨーロッパとアジアを結ぶ橋

こうして見ると、パレスティナ問題に関わりを持たなかったトルコとサウジアラビアが、イスラーム圏内で一番安定している国に見えます。この2国を見てみましょう。

【トルコ】首都イスタンプール・人口7500万
 トルコはNATOにも加盟し、EU加盟申請している、西側の一員とされていますし、トルコもそれを自認しています。
 オスマントルコ帝国は第一次世界対戦で敗北し崩壊しますが、列強による分割反対を叫んでいち早く立ち上がたのが、建国の父と言われるムスタファ・ケマルです。1919トルコ独立戦争を行い、1922年9月、現在のトルコ共和国の領土を勝ち取りました。
1923年、アンカラ政権は共和制を宣言。翌1924年にオスマン王家のカリフをイスタンブルから追放して、西洋化による近代化を目指します。これはケマルの方針でした。

イスラム世界初の世俗主義国家を建国したのです。第二次世界大戦後、ソ連に南接するトルコは、反共の防波堤として西側世界に迎えられます。トルコはイスラームの復活を望む人々などの国内の反体制的な勢力を強権的に政治から排除しつつ、西洋化を邁進して来ましたが、その最終目標であるEUへの加盟には幾多の問題が残され未だ加盟には至っていません。クルド問題やキプロス問題を言われていますが、実際はイスラム教徒(99%)の国を一員にしていいのかという抵抗感、そして国土と人口(7500万)の大きさであります

 クロアチアは2003年にEU加盟を申請し9年で加盟できました。トルコの「欧州の仲間入り」に向けた歴史は古く、1963年にはEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)へ加盟を申請し、1987年にはEC(欧州共同体)へ加盟申請し、12年後の1999年にようやく正式加盟国として承認されました。EU加盟交渉は2005年にスタートしたものの、今のところ交渉は停滞しており加盟の見通しは立っていません。実にトルコは50年もの間EU加盟を待ち続けているのです。

 トルコがEUに加盟した場合、EU圏内へトルコから大量の労働者が流入すると見られています。このため、クロアチアに比べてトルコの加盟はEUの既存加盟国に大きな経済的負荷がかかると考えられているのです。
 また、シリア、イラン、イラクなどに接するトルコがEUに加盟した場合、EUは安全保障上の問題を抱えるこうした中東諸国と直接向かい合うことも懸念されています。アラブでもない、ヨーロッパでもない悩みはあるのです。

 イスラエルとの間は良好な関係でありましたが、エルドアン首相になってからは、イスラエルがパレスチナ人に対して行っているのは「ジェノサイド(大量虐殺)」であると主張し、2010年に支援物資を積んでガザに向かっていた船がイスラエルに襲撃され、トルコ人10人が死亡したことを契機に、国交断絶こそありませんが、冷え込んでいます。

トルコ、イラクに跨るクルド人の問題は、独立運動や今のシリア内戦、イラクの混乱に巻き込まれるリスクもあるのです。そういう意味ではイスラームの国であるのです。

【サウジアラビア】人口3000万
 言わずと知れた最大の産油国であり、OPECの盟主であります。また、潤沢なオイルマネーで世界経済に影響力も持っています。サウード家による王国で、親米国家であります。中東戦争には参加していませんが、イスラエルは承認していません。
 歴史的にはオスマン帝国の支配下には入っていません。1932年に主要地域を統合してサウジアラビア王国が成立します。1938年、「ダンマン油田」が発見されるまで国は貧しい状態でありました。油田発見後は既に述べたところです。

 1979年にイラン革命に影響を受けたイスラーム過激主義者によるアル=ハラム・モスク占拠事件が発生。武力で鎮圧したものの、以後、頭痛の種を抱えることになり、過激派にも配慮を見せた政策を行うようになりました。
 湾岸危機が起こると、国土防衛のために米軍の駐留を許可し、聖地メッカのあるサウジアラビアに異教徒の軍隊が駐留することに敬虔なイスラム教徒たちは反発し、後に同国人のウサーマ・ビン=ラーディンが反米テロを組織する原因ともなるのです。

 トルコと違って、厳格なイスラーム教義を国の根幹としています。
人権については、国際人権規約を未だ批准せず、前時代的な法制度や人権侵害]に対しては欧米諸国だけでなく、他のイスラーム諸国からも抗議の声が上がっていますが、批判国に対する石油輸出停止などの報復がたびたび実行されているため、これらの報復を恐れて国交断絶や経済制裁などを発動する先進国は皆無となっています。特に中東有数の親米国家であることから、人権に煩いはずのアメリカ合衆国はサウジアラビアには何も言いません。近年女性の権利や教育には改善が見られますが、女性は車を運転することは認められていません。

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