14 西側のいう過激派集団、『ハマース』と『ヒズボラ』

イスラエルに空爆されるパレスティナ・ガザ地区
 
 アメリカをはじめ西側諸国から過激派、テロ集団とされるパレスチナのハマースとヒスボラ(ISの前はニュースには常にこの名前が出てきてました)について調べてみましょう。イスラーム復興主義のムスリム同胞団については先に書きました。この二つの組織はいずれも同胞団の流れを汲むものであります。

【ハマース】
 アラファート(2代目議長・初代はファタハ)が指揮するパレスティナ解放機構 (PLO) の影響力を排除した民衆レベルでの対イスラエル抵抗組織として設立されました。最初、ハマースとPLOの対立関係を見たイスラエル政府は、ハマースがPLOに対抗する勢力となることを期待して、秘密裡に援助をおこなっていたと言われています。ハマースは教育、医療、福祉などの分野で、一般民衆への地道な活動を続けたため、パレスティナ人の間で支持が拡大して行きました。単にテロを繰り返す集団としてのみでは、民衆の支持は得られないのです。

 ハマースが行ってきた草の根の民衆支援への評価、和平交渉の破たんとファタハ(主流・穏健派)の率いるパレスティナ自治政府への不満などから、2004年パレスティナ地方議会選挙において過半数の議席を獲得し、さらに2006年1月のパレスティナ評議会選挙でも定数132の議席中で76議席を獲得するなど圧勝します。
同年3月にハマースのイスマーイール・ハニーヤがパレスティナ自治政府首相に任命されます。多数の西側諸国はハマースをテロリズム団体に指定しており、ハマースの政権参加を機にパレスティナ自治政府への支援を停止するのです。テロ集団と決めつけるのは簡単です。PLOだって最初はそうでした。私は責任を持たせてテーブルにつかせるいい機会にもなり得たと思うのですが・・どうなんでしょう?

 現在に至るまで、ガザ地区はハマースが、ヨルダン川西岸地区はファタハ(穏健派)が事実上支配しています。イランやシリア以外の国際社会はファタハによる政府を自治政府としているのです。

 2011年4月にハマースとファタハはカイロにおいて共同で会見し、2007年以来続いていた対立関係を解消し連立政権をつくったうえで総選挙を行うことを発表しました。今後の交渉では、ハマースのテロリズム路線の是非や、治安部隊の指揮系統が議題となります。イスラエルはこの和解を批判し、国連は好意的に評価しています。
『イスラエルの殲滅』を掲げていたハマースですが、連立政権入りで現実路線を取るのではないかと期待されています。事実、ハマースのスポークスマンは「パレスチナ民衆にとっての最低限のライン」として、イスラエルによる全入植地の撤廃、パレスチナ難民の自由な帰還、1967年6月時点での停戦ラインを国境とする、パレスチナを、エルサレムを首都とする完全な主権国家とする4条件を挙げています。イスラエルはこれに反対しています。

【ヒズボラ】
 レバノン内戦へのイスラエル軍侵攻を受けて1982年に結成されたレバノンの急進的シーア派イスラーム主義の政治組織、武装組織。当然反米であります。イランとシリアの政治支援を受け、アラブ・イスラム世界の大半では抵抗運動の組織と見なされていますが、アメリカ、はじめ西側諸国はヒズボラの全体または一部をテロ組織に指定しています。アラブではバーレーン、エジプトがこれに同調しています。

 1983年10月、ベイルートのアメリカ海兵隊兵舎への自爆攻撃、1984年9月のベイルートでのアメリカ大使館への自爆攻撃はヒズボラとされています。少数の民兵組織から始まったヒズボラは、レバノン議会に議席を有し、ラジオ・衛星テレビ局を持ち、社会開発計画を実施する組織へと発展を遂げます。ヒズボラはレバノンのシーア派住民からの強固な支持を受け、数十万人規模のデモを組織する能力を持つとされています。

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