「楽園を探して」


風が花を揺らして 水面が波打つ
雨粒が花を打って 水面が音を立てて震える

雨音なのか 草原が鳴らす音なのか
分からないくらい 音で満ちた空と大地の間で

歩くたびに 草の息が聴こえるようで
遠くの木は 静かに眠っているような気がして

雲が動いていく 空が廻っているのか
動いているのは自分の立っている場所の方なのか

どこまで行っても 世界は雨の中
海の始まりは 向こうだっただろうか
大地の最果てなんて ここにはなくて

ずっと――ずっと 廻っているだけだった

空と風が雨の中で一つになったようで
色さえも溶けだしてしまいそうな気がして

雪が降ったら――どんな風景だろう
季節が巡ったら どんなふうに変わっていくだろう

いつか撒いた種は
もしかしたらどこか遠い場所で 芽を出して
いつか咲いた花に 出会うために 旅をするのかもしれない

辿り着いた場所で 息をして
行き着いた場所で 生きていくように

この木も そうなのだろうか
よりかかって 空を見上げたら

雨の終わりと 光の始まりの
境目を見た

眩しいほどの光が溢れて
散りばめられた雨の余韻を反射して

すべてを失ったと思っていた
でも探しに行けば 見つけに行ける
誰も ここにいなければいけないなんて 言っていない
だから いたい場所に いればいい

すべてがここで――繋がっている

だから どこにいても 大丈夫

ここが――帰ってきた場所


©CRUNCH MAGAZINE