「その木について」


森の中を歩いていけば
迷ってしまうかもしれない

最初から行く宛なんてないから
迷うなんてことも 最初からなかった

どこにでも行けるということと
どこにも行けないということは 何が違うだろう

木は動けないということが
寂しくないのだろうか

木は動かないだけで
出会いに来るものをただ待っている

それは出会うというよりも
訪れるものなのかもしれない

一人ということと 佇む姿が 自分に重なって
寂しくないように 陽だまりに種を植えた


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